父親によると、子供時代、物事を始める発想がすばらしくて、この子は天才だと思ったらしいのだけど、何一つ最後までやり遂げず、中途半端に投げ出していたのが俺だそう。ブロックを積み上げて自分よりでかいロボットみたいなのを作っている保育園時代の写真があるのだけれど、もう少しがんばれば完成するのに、8割くらいで、もういいや、って満足しているのが目に取れます。そこを一つずらせば、ちゃんと左右対称になるじゃん!みたいな箇所がちらほら。
大人になった現在も曲を作っていてそういう傾向があるのだけれど、人間の資質はなかなか変わらないようです。でも途中で投げ出しているのでなく、途中でほかのことがやりたくなってしまうのでしょうがない。
本を読んでいる最中に、映画を見たくなったり、一つの曲を作っている最中に、別の曲が作りたくなったり、興味の対象が数多いだけなのだけど、こういうのは一生直らないってことなのか。


そんな移り気な心を抑え、スティーヴ・エリクソンの「黒い時計の旅」を読み終えました。ヒトラーがもし戦いを続けていたら、というもう一つの20世紀と現実の20世紀を錯綜させながら、凄い構成力と集中力で物語を作り上げてます。傑作。震えた。こういう集中力を身につけたい。ともかく今年はいい本から入れてよかった。白水Uブックス国書刊行会は今年も散財しそうな予感。

(は)

黒い時計の旅 (白水uブックス)

黒い時計の旅 (白水uブックス)