ネット専門の古本屋ででロブ=グリエの「消しゴム」やシュペルヴィエルの「火山を運ぶ男」やらを安値で発見。他にも色々何冊か注文したら、そのお店の倉庫兼自宅が家から5分もかからないところだったので、よかったら取りに来ませんか?とのことなので、直接受け取りに行った。


本当に家のそばで、到着すると感じの良い70歳くらいの夫婦が迎えてくれて、お茶でも飲んでいかないかというので、ありがたくお邪魔することに。今まで夫婦で店をやっていたのだけど、今は店をたたんでネット専門とのこと。本とレコードにあふれた家の中で、3人でお茶を飲みながら、文学映画音楽談義。知識が凄い上に話がおもしろくて、えらい有意義だった。倉庫はさながら宝物庫。財布の紐を締めないとやばい。


あなたは山に例えると、どうやら人が少なく険しくて迷いやすい道を好んで登るのが好きみたいだけど、歩きやすくて、途中で出会う景色も人も全てが美しく、上りきった山頂の景色も壮麗な山も楽しいものよ、と奥さんから言われた。そんな意識はないんだけど、そうかも。


そんで、これを読んどくべきだよ、と倉庫から本を持ってきて、お金は要らないから持って行けと何冊か本を頂いた。これは嬉しい。本屋さんなのになんと商売っ気のない。本の値段設定も他店より安いしなぁ。
帰って早速貰った本のひとつのラーゲルレーヴの「沼の家の娘」(生田春月訳)を読む。そしてこれが面白かった。古典的なキリスト教的テーマの恋愛と道徳の小説なんだけど、テンポがとにかくよくて、これぞ小説!という爽快感。景色の綺麗な山でした。他の貰った本も楽しみだ。地元の付き合いが全くないので、久しぶりに近所にお友達ができて嬉しい。


そいや、こないだ髪を切っている最中に本を読んでいたら、自分は本を読まないのだけど、読むとやっぱり作文とかうまくなるんですか?想像力とかふえますか?とかカルチャーショックなことを聞いてきた若い美容師がいたのだけど、人間は様々だ。彼にも幸あれ。