山尾悠子の「夢の棲む街」を読みました。前々から気になっていた作家なんだけど、本が高いので、とりあえず図書館で読んでみて、よかったら買ってみよう、ということで、「山尾悠子作品集成」に最初に入ってるやつ図書館で。


で、感想。
予想をはるかに上回るレヴェルの高さにかなりびっくらこいた。グロテスクだけど、どこか煌めく絵画の断片を次々と見せられるような感じで、文章自体はなんとなく埴谷雄高に近いものを感じた。ストーリーは一応あるんだけど、その破滅的なイメージの連続がとにかく凄まじく(グリューネヴァルトの聖アントニウスの誘惑がずっと思い浮かんでた)、って俺の読書の好みが偏りすぎていつもこんなことを言っている気がしてきたんだけど、デビューが大学生だったってのも含めて、日本文学史の一事件として語り継がれるべき人でないかと思った。一部の読者向けの本かもしれないけど、それでは日本の遺産としてもったいない。これを原語で読める身分の自分の環境を感謝したい、と思うほど(少々大袈裟)。

んで、これはいくら高かろうが買うべきだと思い、後ろ髪引かれながら本を閉じ、amazonで購入しようと思うも、9,240円となるとやっぱ高くて躊躇して、カートに入れられず。エフェクター壊れたから買わなきゃいけないし、先月いっぱい買い物したカードの引き落としがあるし、図書館行けばただで読める本に9,420円。うーん。他の作品も流し読みしたんだけど、「夢の住む街」以上のインパクトはなさそうだったし・・・。と、ここ数日煩悶しております。CDも3,000円を超えると躊躇してしまうように、本は5,000円を超えると、金銭感覚のリミッターが作動。ちなみにエフェクターは30,000円くらいでリミッター作動。お金はそんなに好きではないのだけど、お金のことで何かを心配しなければいけないことが嫌だ。TOTOの次節を当てて買ってみせる。シュルツ先生、俺に神のお恵みを。もし、誰か買っていらなくなったら売ってくれ。


山尾悠子作品集成

山尾悠子作品集成